限定正社員
勤務地など契約明確に
2014年7月12日
日本経済新聞
働く場所や仕事をあらかじめ絞る限定正社員を増やすための政策が11日、まとまった。厚生労働省の懇談会がまとめた報告書は、どの条件を限定するか労働契約ではっきり示すほか、普通の正社員と行き来できる仕組みをつくることを企業に求めた。
勤務地や勤務時間を限って働く限定正社員の普及・拡大は、政府が昨年、成長戦略で打ち出した雇用改革の1つ。子育てや通院、介護で働ける時間や地域に制限がある人も働きやすくなる。
今回の報告書では、どうしたら多様な働き方に対応する制度が普及するか対策をまとめた。
第1に求めたのは、企業が従業員と労働契約を結ぶときに、働く場所や時間、仕事といった条件をはっきり示すことだ。企業に対して通知を出して要請するほか、将来は労働基準法を改正して条件の明示を企業に義務付けることも検討する。
限定正社員として就職したにもかかわらず、正社員と同じように配置換えや残業を求められるケースを防ぐためだ。
第2に求めたのは、正社員と限定正社員を相互に行き来できる仕組みづくりだ。まずは育児や介護・通院といった事情で正社員が希望すれば、限定正社員に転換できる社内制度が必要だとして、就業規則のひな型を示した。
私生活が一段落すれば再び目いっぱい働けるよう、正社員に戻れる仕組みを作ることも企業に要求した。限定正社員の仕組みをうまく使ってもらいキャリアが中断しないようにする。
第3に求めたのが、非正規社員からの登用制度だ。新卒で非正規の職に就いてしまうと、いつまでも正社員になれず、不安定な働き方が続くことが多い。厚労省は限定正社員を使って優秀な非正規社員を積極的に正社員にするよう促す。
実際に人手不足のなかで、ユニクロが店舗で働く1万6000人のパート・アルバイトを地域限定の正社員に転換するなど、限定正社員を囲い込みに使う動きも企業に広がっている。
第4に「限定正社員の賃金は正社員の8~9割とすることが多い」と給与水準の目安を示した。
いまの日本の企業は、転勤や残業、配置転換の可能性がある正社員が中心だ。子育てや通院、親の介護といった事情を抱えてそうした働き方ができない人は、不安定な非正規社員として働かざるを得ない。報告書は限定正社員を、普通の正社員と非正規の中間にある働き方と位置づけた。
限定正社員の働き方を広げるには、企業にとって導入の利点を見えやすくすることも課題になる。
解説(和田康伯)
多様性ある働き方への考え方が、ますます高まってきました。中小企業としては、働く側のメリットと企業側のメリットをいかに合致させていくかが大切ですが、そのためにも給与体系等の人事制度整備、新しい枠組みでの業務内容・権限・責任の範囲の設定、成功例であるロールモデルづくりが急がれます。また、現在の社内の人材の再配置や、採用方法の確立、助成金の活用も重要です。
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