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若手転職市場 活況のワケ

2017/07/11 日本経済新聞 20代前半の転職市場が活況を呈している。浮かび上がるのは、やりたい仕事や理想のワークライフバランスを求め、就職直後から転職情報を集める若者と、人手不足や新卒採用難を背景に、未経験者の獲得に乗り出す企業の存在だ。若手転職市場の実情を探った。 (中略)企業の若手採用意欲は旺盛だ。日本人材紹介事業協会によると、大手を通じた25歳以下の転職者数(16年度下期)は前年同期比20%増。企業側は「即戦力となる経験者の採用が厳しいため、未経験者でも可とする条件緩和が進んでいる」。新卒者の採用難も、第二新卒人気を後押しする。 (解説)(リンクコンサルティンググループ 和田康則) 若手を中心にした転職市場が活性化することは、若手の離職が増加していくことと同様です。 今の新卒採用を例に挙げても、圧倒的に学生優位で進んでいます。企業は学生に選ばれるために、残業や休日などの雇用環境を再整備し、採用活動もいろいろと手を尽くし、求人広告の予算も増額しました。一方、学生は、自分のスタイルを受け入れてくれそうな企業を重視し、ゆとりのムードを引きずったままで内定を獲得した人もたくさん見受けられます。今年度の新卒採用活動は、企業と学生の間に、取り組み方・考え方の面で大きな隔たりがあったと言ってよいでしょう。 このような状況を受けて、私たちが最も留意しなければいけないことは、実は若手の転職者採用よりも、いわゆる早期離職の問題です。採用難の時代の次には、就職活動でせっかく見つけた会社や仲間から、「理想と違う」、「私はもっとできるはず」、などのリアリティギャップのせいで簡単に逃避していく傾向が強まりますので、注意が必要となります。 転職市場においては、企業にとっては即戦力採用が難しいため、第二新卒者の採用で補おうといった流れも顕著です。しかし、この市場も即戦力市場とならんで、当然のことながら競争がより厳しい市場となります。そんな中で中小企業にとっては、採れる企業、すなわち人が集まり、人が辞めない企業づくりが問われています。 今、私たちに必要なことは、新卒、第二新卒、即戦力、それぞれの採用の可能性の見極めと、現状の社員の定着のための対策立案です。採用を強化しているうちに、離職が増えては本末転倒ですね。 そして、若手において、就職のワークライフバランス化、転職のカジュアル化が進む中で、働く意味の教育ももっと必要かもしれません。有利な条件を選ぶ就職よりも、自分を活かせる就職を啓蒙していきたいと思います。